愛とロマンな日常

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私の私による私のためのブログ

独断と偏見の私的横溝正史長編ランキング

私は横溝正史金田一耕助のファンです。

個人的に、横溝正史作品の魅力は、私の大好きな昭和ノスタルジー、民俗学的な旅情感、見てるだけでもゾクゾクする題名、独特な言い回しにあると思っています。ドロドロとした世界が描かれているのですが、なんかへんな安心感があるというか…。そこに陽光のように差し込む金田一耕助の人柄と推理力とのマッチングがいいのでしょうね。やはり不世出の大作家です。

さてこの記事では、そんな横溝作品の独断と偏見に満ちた私的ランキングをご紹介していきましょう。

※あくまでも私的ランキングです。何の根拠もありません。

 

第10位 仮面舞踏会

仮面舞踏会 (角川文庫―金田一耕助ファイル)

仮面舞踏会 (角川文庫―金田一耕助ファイル)

 

夏の軽井沢に殺人事件が起きた。被害者は映画女優鳳三千代の三番目の夫。傍にマッチ棒が楔形文字のように折れて並んでいた。軽井沢に来ていた金田一耕助が早速解明に乗りだしたが…。

別荘地軽井沢を舞台として、旧華族の没落と戦後の混乱期を背景に、伏線貼りまくりの手の込んだ造りとなっています。犯人の独善的な世界観と陰険な犯行動機はまさに戦慄ものですよ。まさに女怪という言葉がぴったりです。読後感にあまりこだわらず、ブルーな気持ちに浸りたい時に…。

 

第9位 迷路荘の惨劇

迷路荘の惨劇 (角川文庫)

迷路荘の惨劇 (角川文庫)

 

 広大な富士の裾野近くに、あたりを睥睨するかのごとく建つ、豪邸名琅荘。屋敷内の至る所に『どんでん返し』や『ぬけ穴』が仕掛けられ、その秘密設計から、別名迷路荘と呼ばれていた――。金田一耕助は、迷路荘到着直後、凄惨な殺人事件に巻き込まれた! 事件解明に乗り出した耕助は、二十年前に起きた因縁の血の惨劇を知り、戦慄する……。斬新なトリックと溢れるサスペンス、巨匠横溝正史の長編本格推理! !

横溝正史お得意の、没落貴族を捉えた作品です。やはり当初、こういう階級の人達って、歪んだ性格、独特な社会を持ってたのでしょうかね。いつも通り、そこに金田一耕助がいるのに、どんどん事件が深刻化していきます。志村後ろ後ろ〜、みたいな。そこがよいのですけどね。そしてラストの凄惨さ。しばらくは頭にこびりついて離れないでしょう。インパクト大です。

 

第8位 女王蜂

女王蜂 (角川文庫)

女王蜂 (角川文庫)

 

 伊豆半島の南方にある月琴島源頼朝の後裔と称する大道寺家が住んでいた。絶世の美女、大道寺智子が島から義父のいる東京に引きとられる直前、不気味な脅迫状が舞い込んだ。『あの娘のまえには多くの男の血が流されるであろう。彼女は女王蜂である……。』この脅迫状には、十九年前に起きた智子の実父の変死事件が尾を引いているらしい。そして…。智子の護衛役を依頼された金田一耕助の前で血みどろの惨劇が! 大胆なトリックで本格探偵小説の一頂点をきわめた、驚異の大傑作! !

やはり、曰くありな名家を巡る事件。横溝作品には、女性の執念が事件の背景にあることが多いですね。いざという時の女性の冷酷さが見事に表現されており、怖ろしさを感じることができます。

横溝正史作品は、若者に対する優しさが垣間見れる描写が、随所にあるのが魅力の一つだと思います。この作品のラストも、まさにそういった優しさが表れるさわやかなシーンが描かれています。そういった救いがあるので、読後感はかなりいいですよ。

 

第7位 悪魔が来りて笛を吹く

悪魔が来りて笛を吹く (角川文庫)

悪魔が来りて笛を吹く (角川文庫)

 

 世の中を震撼させた青酸カリ毒殺の天銀堂事件。その事件の容疑者とされていた椿元子爵が姿を消した。「これ以上の屈辱、不名誉にたえられない」という遺書を娘美禰子に残して。以来、どこからともなく聞こえる“悪魔が来りて笛を吹く"というフルート曲の音色とともに、椿家を襲う七つの「死」。旧華族の没落と頽廃を背景にしたある怨念が惨劇へと導いていく――。名作中の名作と呼び声の高い、横溝正史の代表作! !

題名にある悪魔は、結局犯人のことを指すのですが、いったいその悪魔的な所業とは、どんな所業なのか。それが気になって一気に読み進めます。舞台も東京・神戸を股にかけ、スケールの大きいものとなっていますし、仕掛けも大胆でよく出来ています。骨肉相食む、怨念と愛欲の人間関係に、血の雨が降る連続殺人事件、まさにそんなドロドロのストーリーは、横溝正史の真骨頂といえる作品のひとつでしょう。

 

第6位 三つ首塔

三つ首塔 (角川文庫)

三つ首塔 (角川文庫)

 

 少女時代に両親をなくし、伯父宅に引き取られた音禰に、遠縁の玄蔵老人からの遺産、それも百億円相続の話がまい込んできた。が、それには見知らぬ謎の男との結婚が条件という。思いもかけない事態にとまどう音禰の周辺で次々と起きる殺人事件。おびただしい血が流された魔の惨劇の根元は、玄蔵が三人の首を供養するために建てた“三つ首塔"に繋がっていた――。

横溝作品には珍しく、金田一耕助以外に男らしく知略と行動力に富んだヒーロー、が出てくる物語です。切り口が大胆で、少女漫画にでもでてきそうなヒーロー像がさわやかで、気持ちのいい作品です。とはいえ、横溝ワールド独特のドロドロワールドが繰り広げられますから、余計にヒーローが際立つのでしょうね。過去の因縁、しがらみが織りなす闇深い舞台で、このヒーローが一体どのように立ち回って苦難を乗り越えるのか。分かり易く、一気に読める作品でした。横溝作品中級者以上におすすめですかね。これまでの横溝ワールドというバックボーンがあって初めて面白い作品かも知れません。たまにはドロドロの隔離された密室的社会というシチュエーション以外で繰り広げられる、横溝作品を味わうのもよいものです。

 

第5位 夜歩く

夜歩く (角川文庫)

夜歩く (角川文庫)

 

 「我、近く汝のもとに赴きて結婚せん」という奇妙な手紙と佝僂の写真が、古神家の令嬢八千代のもとにまいこんだ。三日後に起きた、キャバレー『花』での佝僂画家狙撃事件。それが首無し連続殺人の発端だった……。因縁の呪いか?憎悪、貪欲、不倫、迷信、嫉妬と、どす黒い要素が執念深くからみあって、古神家にまつわる、世にも凄惨な殺人事件の幕が切って落とされた! !

当私的ランキング上位には 「いかにも横溝正史」といった作品がずらり並びますが、それに対してこの作品は、特にラストにおいて、他の横溝正史作品とは一線を画す展開・描写となっており、非常にインパクトも強く、印象的で面白いです。メリハリがはっきりしており、分かり易い展開。逆にいえば、ありがちなストーリーですが、それが横溝正史の独特な言い回しや世界観の設定によって、新鮮味がある作品に仕上がっているところは「さすが!」と言わざるを得ませんね。

まあ、だまされたと思って、とりあえず読んでみて欲しい作品です。

 

第4位 八つ墓村

八つ墓村 (角川文庫)

八つ墓村 (角川文庫)

 

 戦国の頃、三千両の黄金を携えた八人の武者がこの村に落ちのびた。だが、欲に目の眩んだ村人たちは八人を惨殺。その後、不祥の怪異があい次ぎ、以来この村は“八つ墓村"と呼ばれるようになったという――。大正×年、落人襲撃の首謀者田治見庄左衛門の子孫、要蔵が突然発狂、三十二人の村人を虐殺し、行方不明となる。そして二十数年、謎の連続殺人事件が再びこの村を襲った……。現代ホラー小説の原点ともいうべき、シリーズ最高傑作! !

八つ墓村」すでにこの題名からして魅力的だと思いませんか。めったに人の訪れぬ中国地方の山間の弧村に、戦国時代から続く怨念の歴史、精神に異常を来たした残虐な大量殺人魔の血を引く家系、人智を超越した双子の老婆、鍾乳洞に眠る伝説の財宝、そしてそこで現在に再現される連続殺人事件…。圧倒的な横溝ワールドを味わえます。

派手な演出はないものの、だからこそのリアリティがあり、引き込まれますね。そしてラストにわかる意外な(ひょっとしたら私が気づかなかっただけで、気づかれる読者も多いのかもしれませんが)裏切りも、この作品の魅力でしょう。

女って恐ろしい…。

 

第3位 悪魔の手毬唄

悪魔の手毬唄 (角川文庫)

悪魔の手毬唄 (角川文庫)

 

 岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村。たまたまここを訪れた金田一耕助は、村に昔から伝わる手鞠唄の歌詞どおりに、死体が異様な構図をとらされた殺人事件に遭遇した。現場に残された不思議な暗号はいったい何を表しているのか?事件の真相を探るうちに、二十年前に迷宮入りになった事件が妖しく浮かび上がってくるが……。戦慄のメロディが予告する連続異常殺人事件に金田一耕助が挑戦する本格推理の白眉!

お決まりの中国地方の山間の弧村で起こる連続殺人。いいですよね、中国地方の山間の弧村。中部地方日本アルプスの山間や東北地方の雪深い山間の村じゃなく、 中国地方の山間の弧村という微妙さがいいのです。近いようで遠い、遠いようで近い、なので微妙に都会文化が流れ込み、それが村人の心を乱して凄惨な殺人事件が起こるのです。

当作品も閉じられた空間だったはずの村に、外部から様々な人間が入り込むことによって因縁の応報が始まり、20年にわたる復讐劇が繰り広げられます。そこに横溝正史お得意の符牒(今回は手毬唄)が絡み合い、事件は複雑怪奇なものとなっていく…。

横溝作品の真骨頂が味わえる作品です。やっぱり女って恐ろしい!

 

第2位 犬神家の一族

犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)

犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル)

 

 信州財界一の巨頭、犬神財閥の創始者犬神佐兵衛は、血で血を洗う葛藤を予期したかのような条件を課した遺言状を残して他界した。血の系譜をめぐるスリルとサスペンスにみちた長編推理。

あまりにも有名な作品です。舞台は信州の那須湖畔とされますが、実在する湖ではありません。

横溝作品はシリーズ通して、しばしば戦争で兵員として徴兵されたことによって、人生を狂わされた人についての描写がされます。金田一耕助自身もながらく兵役にとられてますし、青春の大事な時期のほとんどを兵役によって過ごした、といった類の登場人物も多く現れます。この作品は、そんな戦争での兵役体験が事件に大きな影響を与えることとなっています。

それはさておき、当作品の魅力は、誰が誰を殺してもおかしくないシチュエーションで、一体誰が犯人なのかを考えながら読み進めていけるところにあります。横溝作品の中でも、本格派推理に寄った作品といえますね。

そして、やはり女は恐ろしいのです。よく考えたら、当ランキングの4位・3位・2位は、女の恐ろしさを感じることができる作品となりました。やっぱり横溝作品は「女の恐ろしさ」がひとつのキーワードになっているようですね。

 

第1位 獄門島

獄門島 (角川文庫)

獄門島 (角川文庫)

 

獄門島――江戸三百年を通じて流刑の地とされてきたこの島へ金田一耕助が渡ったのは、復員船の中で死んだ戦友、鬼頭千万太に遺言を託されたためであった。『三人の妹たちが殺される……おれの代わりに獄門島へ行ってくれ……』瀬戸内海に浮かぶ小島で網元として君臨する鬼頭家を訪れた金田一は、美しいが、どこか尋常でない三姉妹に会った。だが、その後、遺言通り悪夢のような連続殺人事件が! トリックを象徴する芭蕉の俳句。後世の推理作家に多大な影響を与え、今なお燦然と輝く、ミステリーの金字塔! !

とはいえ、やはり横溝作品の真骨頂はこの作品です。瀬戸内海の孤島。海賊と流刑者の末裔が暮らす島。網元同士の争い。独特の文化が生み出す独特な道徳観。精神に異常を来たし、座敷牢に閉じ込められている主人。そんな父親を笑いものにする美しい3人姉妹。陰惨な雰囲気漂う一族に起こる、芭蕉の俳句になぞらえた殺人事件…。これこそ、ザ・横溝正史、ザ・金田一耕助です。

そして、最後まで読み進んでも、まったく犯人の殺人動機が理解できないところが素晴らしい。こんなもんわかるかい。金田一耕助も、よくこんな殺人事件を読み解いたな、と感心してしまいます。

終戦直後という昭和ノスタルジー、民俗学的な旅情感、見てるだけでもゾクゾクする題名、独特な言い回し、横溝正史作品の魅力がすべて詰まった名作です。横溝作品を読んだことがないというかたは、是非、この作品から読んでみていただきたい。この作品を面白いと感じることができれば、あなたも立派な横溝ファン。他の作品を読んでも、きっと面白いと思っていただけると思いますよ!

 

いかがでしょう。お送りした私的ランキング。オレは違うぞ!という方もいると思います。当たり前ですね。横溝作品を読んだことがない!でも興味がある!という方は一度読んでみることをお勧めします。期待を裏切らない作品の数々だと思いますよ。

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