愛とロマンな日常

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私の私による私のためのブログ

独断と偏見の私的山崎豊子作品ランキング

私の本棚の一番目立つ場所には、山崎豊子の文庫本が並んでおります。

山崎豊子の珠玉の作品群は、女性のものとは思えない重厚な筆致が魅力です。その描写力は、昭和20年代から60年代までの戦後日本を知るうえで、山崎豊子作品の右に出るものはないレベルと言え、現代社会を生きる大人の必携書といって過言ではないでしょう。

どの作品も、ディテールがしっかりと描かれている為、軽薄さとは無縁の骨太な造りとなっています。テレビやネットメディアの軽薄さがどうしても許せない私にとって、山崎作品の数々は、小説の枠を超えたバイブル的存在となっています。

当記事では、そんな山崎作品を独断と偏見に満ちた私的ランキング形式で紹介して行きます。

※あくまでも私的ランキングです。何の根拠もありません。

 

第6位 華麗なる一族

華麗なる一族〈上〉 (新潮文庫)

華麗なる一族〈上〉 (新潮文庫)

 

業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。不気味で巨大な権力機構「銀行」を徹底的に取材した力作。

華麗なる一族〈中〉 (新潮文庫)

華麗なる一族〈中〉 (新潮文庫)

 

 阪神特殊鋼の専務万俵鉄平は、米国企業からの増注契約をキャンセルされて危機に陥る。旧友である大同銀行の三雲頭取が多額の融資を了承してくれるが、その矢先、熱風炉が爆発するという事故が出来―。一方、万俵家の次女二子は、総理の縁戚と見合いをしながらも、鉄平の部下である一之瀬に惹かれていく。万俵家に同居する大介の愛人・高須相子が企む華麗な閨閥づくりの行方は…。

華麗なる一族〈下〉 (新潮文庫)

華麗なる一族〈下〉 (新潮文庫)

 

万俵大介は、大同銀行の専務と結託して、鉄平の阪神特殊鋼を倒産へと追いやり、それをも手段に、上位の大同銀行の吸収をはかる。鉄平は、三雲頭取を出し抜いた専務と父親の関係を知るに及び、丹波篠山で猟銃自殺をとげる。帝国ホテルで挙行された新銀行披露パーティの舞台裏では、新たな銀行再編成がはじまっていた。聖域〈銀行〉にうずまく果てしない欲望を暴く熾烈な人間ドラマ。 

当作品は、神戸銀行と神戸の岡崎財閥をモチーフとしたと言われています。

高邁な精神を持っていても、策謀高い方が勝つ。 その一言につきるストーリーです。舞台がどのように大掛かりな世界でも、結局差配するのは1人の人間の意志なのですよね。

さすがにディテールが詳細に描かれていますので、支配者層の日常を垣間見ることができるのも魅力の一つです。

最後の様々などんでん返しも圧巻です。これが完全なフィクションではなく、モチーフとなった史実があるのですから、現実は小説よりも奇なりとは、よく言ったものですね。

 

第5位 運命の人

運命の人(一) (文春文庫)

運命の人(一) (文春文庫)

 

 毎朝新聞政治部記者、弓成亮太。政治家・官僚に食い込む力は天下一品、自他共に認める特ダネ記者だ。昭和46年春、大詰めを迎えた沖縄返還交渉の取材中、弓成はある密約が結ばれようとしていることに気づいた。熾烈のスクープ合戦の中、確証を求める弓成に、蠱惑的な女性の影が…。戦後史を問いつづける著者・渾身の巨篇。 

運命の人(二) (文春文庫)

運命の人(二) (文春文庫)

 

 強大な国家権力とジャーナリズムの全面戦争に沸騰する世論。その時「起訴状」という名の爆弾が炸裂した。「弓成亮太、逮捕する!」。ペンを折られ、苦悩する弓成。スキャンダル記事に心を乱す妻・由里子。弁護団の真摯な励ましが家族を支える。そしてついに、運命の初公判が訪れた―。毎日出版文化賞特別賞受賞の傑作全4巻。

運命の人〈3〉 (文春文庫)

運命の人〈3〉 (文春文庫)

 

 東京地裁が下した判決は二人の被告の明暗を分けた。毎朝新聞記者の弓成亮太は無罪、元外務省高官付き事務官・三木昭子は有罪に。週刊誌に発表された昭子の手記は波紋を広げ、妻の由里子はある決意をかためる。「知る権利」を掲げて高裁を闘う弁護団の前に立ちふさがる強大な国家権力。機密は誰のためのものか?緊迫の第三巻。

運命の人(四) (文春文庫)

運命の人(四) (文春文庫)

 

 曲折の末、弓成は沖縄へたどりついた。さまざまな人々と出会い、語らううちに、沖縄返還取材に邁進していた頃は見えていなかった沖縄の歴史と現実に直面する。再びペンを手にした弓成が再生への道を歩き出したとき、あの密約を立証する公文書が発見されたというニュースが飛び込んできた。感動の巨篇、ここに完結。

山崎豊子の作品は史実をモチーフとしたものが多く、当作品も沖縄返還協定に関する機密情報の漏洩が問題となった「西山事件」がモチーフになったと言われています。

私は史実のほうはあまり知りませんが、誇り高き敏腕記者が、政治の闇にペンで挑む中で、些細なミスに国家権力を挙げて付け込まれ起訴された挙句、自身のプライベートとプライドを崩壊せしめられるあらすじには圧倒されました。

そんなあらすじが、山崎豊子の精細かつ重厚な筆致で描かれているので、主人公の転落の半生を追体験することができます。

私の好きなのは第4巻。第3巻までの転落のストーリとは一転して、戦争の悲惨さと沖縄問題、主人公の再生がテーマとなっており、日本人として他人事とは思うことができない内容となっています。

ボロボロになりながらも、また立ち上がる主人公の様を自身と照らし合わせ、自分もこうして無為に生きていていいのかなどと、真剣に考えたくなる作品です。

 

第4位 白い巨塔

白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)

白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)

 

国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。食道噴門癌の手術を得意とし、マスコミでも脚光を浴びている彼は、当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。しかし、現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌い、他大学からの移入を画策。産婦人科医院を営み医師会の役員でもある岳父の財力とOB会の後押しを受けた財前は、あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとする。

白い巨塔〈第2巻〉 (新潮文庫)

白い巨塔〈第2巻〉 (新潮文庫)

 

現教授の東は、学会のボスから学外候補の推薦をうけ財前にぶつける。政界まがいの生臭い多数派工作のすえ、かろうじて勝利した財前に、国際学会から招聘状が届く。栄光に満ち多忙をきわめる日々のなかで財前は、同僚の第一内科助教授・里見脩二から相談された患者の早期噴門癌を発見し、見事に手術を成功させる。だが、財前がドイツに出発する日、その患者は呼吸困難に陥っていた。

白い巨塔〈第3巻〉 (新潮文庫)

白い巨塔〈第3巻〉 (新潮文庫)

 

財前が手術をした噴門癌の患者は、財前が外遊中に死亡。死因に疑問を抱き、手術後に一度も患者を診察しなかった財前の不誠実な態度に怒った遺族は、裁判に訴える。そして、術前・術後に親身になって症状や死因の究明にあたってくれた第一内科助教授の里見に原告側証人になってくれるよう依頼する。里見は、それを受けることで学内の立場が危うくなることも省みず、証人台に立つ。

白い巨塔〈第4巻〉 (新潮文庫)

白い巨塔〈第4巻〉 (新潮文庫)

 

浪速大学教授・財前五郎の医療ミスを訴えた民事裁判は、原告側の敗訴に終わる。同じ大学の助教授の身で原告側証人に立った里見は、大学を去る。他方、裁判に勝訴した財前のもとに、学術会議選挙出馬の誘いがもたらされる。学会人事がらみの危険な罠を感じながらも財前は、開始された医事裁判控訴審と学術会議選挙をシーソーのように操り、両者ともに勝利することに野望をたぎらす。

白い巨塔〈第5巻〉 (新潮文庫)

白い巨塔〈第5巻〉 (新潮文庫)

 

開始された医事裁判の控訴審は、原告側弁護人や里見たちの献身的努力によって、予断を許さない展開に。そして、財前自身の体に不吉な病魔の影が…。厳正であるべき“白い巨塔”大学病院の赤裸々な実態と、今日ますますその重要性を増している医事裁判に題材をとり、徹底した取材によって、人間の生命の尊厳と、二人の男の対照的生き方とを劇的に描ききった、社会派小説の金字塔。

何度も映像化されている有名な作品ですね。大名行列のような総回診のシーンは、総合病院を表す象徴の描写として、多くの人になじみがあることでしょう。

賄賂を送らないと医者も真剣に見てくれないという風潮は、現実でも今もまだ根強く残っていますよね。

我々一般人でも、普通に謝礼金などとして渡しているのですから、富裕層の間で何が行われているのかなんて、推して知るべしといったところでしょう。

当作品では、主人公が財力と策謀の限りを尽くして、教授戦を打ち克ち、医療ミスで死なせた患者の遺族と裁判で争い、学術会議選挙を闘っていく様が描かれていますが、脇を固める登場人物の記述にも注目すべき点が多くあります。

特に医療裁判で行なわれる、医療界の重鎮たちによる各証言は、今後の実際の医療現場において、我々はどのように考えていかねばならないか、示唆に富んだ内容となっており、興味深いです。

テーマが身近で、山崎豊子作品の入門作としてオススメの作品です。

 

第3位 二つの祖国 

二つの祖国 第1巻 (新潮文庫 や 5-45)

二つの祖国 第1巻 (新潮文庫 や 5-45)

 

アメリカに生まれ、アメリカ人として育てられた日系二世たち。しかし日米開戦は彼らに、残酷極まりない問いを突きつけた。アメリカ人として生きるべきか、それとも日本人として生きるべきなのか――。ロサンゼルスの邦字新聞「加州新報」の記者天羽賢治とその家族の運命を通して、戦争の嵐によって身を二つに裂かれながらも、真の祖国を探し求めた日系米人の悲劇を描く大河巨編!

二つの祖国 第2巻 (新潮文庫 や 5-46)

二つの祖国 第2巻 (新潮文庫 や 5-46)

 

合衆国への忠誠を示すため、砂漠の強制収容所から米軍に志願し、欧州戦線に向かった末弟・勇。日本で教育を受け、帝国陸軍兵士として出征した次弟・忠。自らも米軍の語学将校となって南太平洋に配属された賢治は、血を分けた弟と戦場で出会うことを恐れていた。しかし地獄のフィリピンで彼が遭遇した、痩せさらばえた日本兵は……。戦争は天羽一家の絆を容赦なく引き裂いてゆく。

二つの祖国 第3巻 (新潮文庫 や 5-47)

二つの祖国 第3巻 (新潮文庫 や 5-47)

 

終戦の翌年、極東国際軍事裁判が始まり、賢治はモニター(言語調整官)として法廷に臨むことに。戦勝国と敗戦国、裁く者と裁かれる者、そのいずれもが同胞だった……。重苦しい緊張の中で進行する裁判の過程で、自らの役割に疑問を抱き始める。家庭では妻との不和に悩まされ、次第に追い詰められてゆく賢治は、日本で再会した加州新報の同僚・梛子に、かけがえのない安らぎを感じていた。

二つの祖国 第4巻 (新潮文庫 や 5-48)

二つの祖国 第4巻 (新潮文庫 や 5-48)

 

極東国際軍事裁判の苛烈な攻防戦も終盤を迎え、焦土の日本に判決の下る日も近い。勝者が敗者を裁く一方的な展開に、言語調整官として法廷に臨む賢治は、二つの祖国の暗い狭間で煩悶する。そして唯一の慰めであった梛子の体に、いつしか原爆の不気味な影が忍び寄る……。祖国とは何か。日系米人の背負った重い十字架を、徹底的な取材により描ききった壮大な叙事詩の幕が下りる。

戦時中の日系2世の苦悩を取り上げた作品ですが、私にとって印象に残ったのは、極東国際軍事裁判についての詳細な記載でした。

私が生まれるたった30年程前に行なわれた軍事裁判。決して物語でも、遠い昔の話でもないのです。

おそらく、当時の軍人たちも悪事に手を染めたつもりではなかったでしょう。国として進んだ方向は誤っていましたが、個々の人々は、自分の責務を全うする為に為すべきことを為していたのだと思います。それが捕縛され、日々の審理で裁かれていくのは、地獄の責め苦だったと思います。

もう2度と同じ過ちを繰り返さないため、かつ、偏見によって、誤った見方で当時の軍人たちを決めつけてしまわないように、同じ日本人として、目を背けてはならない問題ですね。

そんな被告たちの気持ちを追体験できる山崎豊子の描写能力の高さには、舌を巻きます。日本人ならは、読まねばならない小説でしょう。

 

第2位 不毛地帯

不毛地帯 (第1巻) (新潮文庫 (や-5-40))

不毛地帯 (第1巻) (新潮文庫 (や-5-40))

 

大本営参謀・壹岐正は、終戦工作に赴いた満州ソ連軍に抑留される。酷寒のシベリアで、想像を絶する飢餓と強制労働に11年にわたって耐え抜き、ついに昭和31年、帰還を果たした。その経歴に目を付けた近畿商事の社長大門の熱心な誘いに応え、第二の人生を商社マンとして歩むことを決意。地獄の抑留生活の傷も癒えぬまま、再び「商戦」という名の新たな戦いに身を投じる。

不毛地帯 第2巻 (新潮文庫 や 5-41)

不毛地帯 第2巻 (新潮文庫 や 5-41)

 

商社マンとして生き抜くことを宿命と感じるようになった壹岐は、防衛庁の次期戦闘機選定に伴う商社、メーカーの熾烈な受注合戦に巻き込まれる。国防のため、真に優れた機を採用させようと奔走するが、背後には次期総裁選をめぐる暗闘が横たわっていた。壹岐は政界や防衛庁内の利害が複雑に絡み合う「黒い商戦」で水際立った手腕を発揮する。しかし、その代償もまた大きかった。 

不毛地帯 第3巻 (新潮文庫 や 5-42)

不毛地帯 第3巻 (新潮文庫 や 5-42)

 

次期戦闘機商戦に勝利し、中東戦争をめぐる商機を掴んで利益を挙げた壹岐は、社の経営方針転換を提唱。経営不振の千代田自動車への関与を深めようとした矢先、米巨大自動車企業フォークの社長が突如来日する。虎視眈々と日本市場を窺うフォーク社に対し、壹岐はアメリカ近畿商事の社長となって千代田自動車との提携交渉を進めるが……。国際経済戦争の過酷な現実に壹岐は苦悩する。 

不毛地帯 第4巻 (新潮文庫 や 5-43)

不毛地帯 第4巻 (新潮文庫 や 5-43)

 

フォーク社との虚々実々の交渉の裏で、壹岐は資源に乏しい日本の将来を見据え、原油確保の手段を模索していた。腹心の部下・兵頭はイランやリビアに飛び、文化や商習慣の違いに悩まされながら油田開発の可能性を探る。一方、フォーク社との交渉は最終段階に至って、ライバル東京商事の暗躍で思いもかけない展開に……。専務に昇進し、近畿商事ナンバー3となった壹岐の戦いは続く。

不毛地帯 第5巻 (新潮文庫 や 5-44)

不毛地帯 第5巻 (新潮文庫 や 5-44)

 

 油田開発を商社マンとしての最後の仕事と思い定めた壹岐は、社内の反対を押し切り、イランのサルベスタン鉱区に賭けた。政官界からの逆風をかわし見事採掘権の落札に成功するが、灼熱の大地からは一向に原油の噴き出す兆しはなかった……。シベリアと中東、二つの「不毛地帯」を彷徨する一人の日本人の戦いを、戦後史を背景に圧倒的な筆致で描ききった一大巨編、ここに完結。

伊藤忠商事元会長の瀬島龍三をモデルとして描かれた作品です。

序盤のシベリア抑留時代、中盤の戦闘機・自動車商戦、後半の油田開発と、物語は大きく3つに分かれて展開されます。

我々今の世代は、そもそも戦後に多くの日本人が当時のソ連で奴隷のように働かされていた事実さえ、まともに知らないのではないでしょうか。

また、そんな時代を生きた人々が、戦後日本を作ってきたことをわかっていない。我々はそんな自分たちの親世代、祖父時代が作ってきた日本を生きているのです。

そんな我々が、改めて、戦争と戦後の日本を作ってきた自分の親世代の歴史を振り返り、自分たちの為すべきことに思いを致すことがこの作品を通してできますし、するべきなのでしょう。

現代社会を生きるサラリーマンなら、必ず読んでおきたい1冊と言って、間違いありません。

 

第1位 沈まぬ太陽

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)

 

広大なアフリカのサバンナで、巨象に狙いをさだめ、猟銃を構える一人の男がいた。恩地元、日本を代表する企業・国民航空社員。エリートとして将来を嘱望されながら、中近東からアフリカへと、内規を無視した「流刑」に耐える日々は十年に及ぼうとしていた。人命をあずかる企業の非情、その不条理に不屈の闘いを挑んだ男の運命―。人間の真実を問う壮大なドラマが、いま幕を開ける。 

沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)

 

パキスタン駐在を終えた恩地を待ち受けていたのは、さらなる報復人事だった。イラン、そして路線の就航もないケニアへの赴任。会社は帰国をちらつかせ、降伏を迫る一方で、露骨な差別人事により組合の分断を図っていた。共に闘った同期の友の裏切り。そして、家族との別離―。焦燥感と孤独とが、恩地をしだいに追いつめていく。そんな折、国民航空の旅客機が連続事故を起こす…。 

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)

 

十年におよぶ海外左遷に耐え、本社へ復帰をはたしたものの、恩地への報復の手がゆるむことはなかった。逆境の日々のなか、ついに「その日」はおとずれる。航空史上最大のジャンボ機墜落事故、犠牲者は520名――。凄絶な遺体の検視、事故原因の究明、非情な補償交渉。救援隊として現地に赴き、遺族係を命ぜられた恩地は、想像を絶する悲劇に直面し、苦悩する。慟哭を刻む第三巻! 

沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)

 

 「空の安全」をないがしろにし、利潤追求を第一とした経営。御巣鷹山の墜落は、起こるべくして起きた事故だった。政府は組織の建て直しを図るべく、新会長に国見正之の就任を要請。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。「きみの力を借りたい」。国見の真摯な説得が恩地を動かした。次第に白日の下にさらされる腐敗の構造。しかし、それは終わりなき暗闘の始まりでしかなかった……。

沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)

 

会長室の調査により、次々と明るみに出る不正と乱脈。国民航空は、いまや人の貌をした魑魅魍魎(ちみもうりょう)に食いつくされつつあった。会長の国見と恩地はひるまず闘いをつづけるが、政・官・財が癒着する利権の闇は、あまりに深く巧妙に張りめぐらされていた。不正疑惑は閣議決定により闇に葬られ、国見は突如更迭される――。勇気とは、そして良心とは何かを問う壮大なドラマ、いよいよ完結へ! 

不毛地帯かこの作品か、どちらを1位にしようか迷いましたが、日航機墜落事故をリアルタイムで知っている世代として、こちらを挙げさせてもらいました。

主人公が労組委員長として経営陣と対峙したことに対する懲罰人事として、十数年もの長期に渡って中東諸国、アフリカをたらい回しにされて、人生を台無しにされるアフリカ編も読み応えがありますが、圧巻は腐敗した国民航空が引き起こした日航機墜落事故をモデルとした事故を詳細に記載した御巣鷹山編から、腐敗を正すために請われて乗り込んだ関西の紡績会社会長が政界に裏切られ追放されるまでを描いた会長室編までにあります。

戦後日本は民主主義になったと、我々世代は教育を受け刷り込まれてきましたが、その民主主義とは虚構だったのではないのか。

あのような悲劇的な大事故を引き起こしながら、自らの政界での地位の為に、要請して招き入れた紡績会社会長を切り捨てる政界権力者の強欲さには、絶望すら感じてしまいます。

現代を生きる社会人として、必ず読んでおきたい作品ですね。

 

いかがでしたでしょうか。私の乏しい語彙と表現力では、上手く伝えきれませんが、日本人として、自分たちの親世代が作ってきた時代を深く知ることは無駄な事ではないと思います。そんな時代があって、我々が生きている今の時代があるわけですからね。

そんな自分たちの親世代の時代を描いた山崎豊子作品、1度読んでみることをお勧めします。

今週のお題「わたしの本棚」

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